「日本の素晴らしさを伝えるグローバルブランドを創る!」インドで起業したSushi Junction手嶋綾子さんの歩み


こんにちは。Miraist Woman編集長の大角です。

2月に入りました。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

 

インドと言えば「一年中暑い」というイメージがあると思いますが、日系企業が多く集まるデリー・グルガオンに関していうと、実は「季節」が存在します。

2月というのはちょうど「」にあたり、デリー・グルガオンも少し寒いです。気温は10度前後といったところでしょうか。

ですが、2月末になれば少しずつ暖かくなってくるそうで、私も今からその時期が楽しみです。

 

今回のインタビューゲストはSushi Junction のマーケティングを担当しております手嶋綾子さん。

 

インド在住の日本人なら皆さんご存知の「Sushi Junction

「これから大きく成長するインドで日本の素晴らしさが伝わる新しい消費者ブランドを創りたい」という思いから、2015年にスタートしたオンライン・デリバリーサービスです。

現在はデリー・グルガオンを中心にロール寿司、丼もの、サラダなどをWebサイト・モバイルサイト・お電話で注文を受けて、ご自宅・オフィスにお届けするサービスを行っております。

インタビュー後半では、Sushi Junctionについても詳しくお伺いできればと思います。

 

大角:綾子さん。本日はよろしくお願いいたします。

 

手嶋さん:こちらこそ、よろしくお願いいたします。

 

大角:綾子さん、いつもSushi Junctionのお寿司食べてますよ。インドではなかなか和食が食べられないので、凄く重宝しています。

 

手嶋さん:ありがとうございます。今後はインドの方に対しても、もっと日本食の認知度を高めていきたいなと思います。

 

大角:そうですよね。まだまだインド人は、インド料理以外の食事を食べる文化がないですよね。

早速ですが、今までのキャリアや仕事について本日はお伺いしてもいいでしょうか。

 

手嶋さん:もちろんです。

 

新卒で世界最大の下着メーカーへ入社

社会人としてのスタートはスイス バート・ツルツァッハに本社を置くトリンプ・インターナショナル。

 

手嶋さん:幼少期に台湾、中学3年生から高校卒業まで上海にいたので、いつか英語や中国語を活かした仕事がしたいと漠然と考えていました。

また、女性に関わる仕事がしたくて、そういう視点で企業を選んでいたのです。

就職活動のときには、外資系の化粧品メーカーなどを受けました。

 

その中で縁があり入社したトリンプ。入社1年目は社長秘書、2年目からはマーケティング部門に異動。東京のオフィスで商品企画に携わりました。

 

 

手嶋さん:2年目からはいろんなブランドの企画に関わりました。

 

当時トリンプには二つの看板商品がありました。「天使のブラ」って聞いたことありますか?これは夏のメイン商品でバストアップを目的とした商品です。

一方、私が担当していた「恋するブラ」は冬のメイン商品で、ブラジャー着用時でも「恋をしている」ように、心地よくリラックスできる商品です。

その他にも、大人の女性をターゲットにした、機能素材・補正機能にこだわった商品、オンライン限定のセクシーな商品シリーズなど様々なニーズに合わせた商品を担当しました。

トレンド研究だけでなく、ターゲットとなる女性が購読する雑誌、書籍を読み、また実際にインタビューし、彼女たちのライフスタイル、またその先にある潜在ニーズを研究していました。

 

 

大角:私も聞いたことあります!トリンプの下着は有名ですよね。学生時代の目標だった「女性に関する仕事」にも関われていたのですね。

 

 

手嶋さん:確かに、仕事はとても楽しかったです。

ですが、仕事をやる中で、どこか狭い範囲の深掘りをやっている気がしてきました。日本のマーケットも既に成熟していますし、会社も大変整っている環境でした。

次のステップに何が待っているのだろう?と考えた時に、想像がつかなかったのです。その時に「もう少し違う環境で働きたいな」と考えるようになったのです。

 

自ら志願し、中国トリンプに入社

「もっと他の環境で挑戦してみたい」そんなことを思うようになった綾子さんが目をつけたのが中国マーケット。

 

手嶋さん:学生の頃上海で過ごした経験があり、年に1度は上海に行っていました。その当時、中国は「大きな経済成長に向かっていた時期」でした。

中国の友人のライフスタイルが毎年どんどん変わっていく姿を見ていました。それは同時に彼らの考え方も変えていきました。その姿は日本にはない光景。充実した様子で、刺激的な毎日を送っているように写りました。

私もこういう経済環境で仕事がしたい

元々「いつか海外で」と思っていた気持ちも強くなり、上司に相談してみたのです。

相談してみたところ「正規ルートはないが、レジュメを作ったら中国の社長につないであげる」と言ってくれたのです。

 

 

大角:すごい!そんな方法があるのですね。普通はダメだと思われることでも、やってみると、意外な方向に進みますね。

 

 

手嶋さん:そうしたら直ぐ電話がかかってきて。その後北京で面接が行われ、無事中国勤務が決まったのです。

 

 

大角:雇用形態は、どのような形になるのですか?

 

 

手嶋さん:日本のトリンプをやめて、中国のトリンプに入社するというかたちでした。ありがたいことに日本での経験を考慮してくれて、給与は日本水準のまま。当時はインフレの影響もあり給与は毎年上がっていきましたし、物価水準と比較しても十分な額でした。

 

中国経済市場で得られるもの

自ら切り開き中国での仕事をスタートした綾子さん。実際に中国で働いてみてどうだったのでしょうか。

 

手嶋さん:当時、中国の下着マーケットは、商品もサービスも充実していませんでした。また日本のトリンプと比較すると、中国トリンプは企業規模が小さかったのです。そのため、商品企画だけに留まらず、ブランドに関わる広範囲の業務を、担当する様になりました。

当時主に扱っていたのはヴァリゼールというフランスのブランド。ブラジャーの価格1~2万円前後の高価格帯のブランドでした。

1年の売上目標が会社によって設定され、ブランドマネージャーという立場から、どのようにすれば目標達成が出来るのかという視点で仕事を進めていました。

大角:途上国は業務全体が仕組み化されていないため、いろんなことをやらないといけなくなりますよね。実際に関わってみてどうでしたか。

 

 

手嶋さん:すごく楽しかったですよ。

日本では、そのブランドの一旦を担う仕事をしていましたが、中国ではそのブランド全体を見る仕事になりました。

まったく違う視点や仕事の仕方を教えてもらいました。また、マーケットの成長速度も速く、成果も大変出やすい時期でした。スピード感を持って仕事をしないと、市場の需要に付いていけなくなるので、とても新鮮な毎日でした。

 

 

大角:このときは、中国で働く日本人女性というのは多かったのでしょうか。

 

 

手嶋さん:大変多かったです。日本に帰国して結婚した子もいれば、中国で起業したり、いろんな子がいます。

 

 

大角:その後、綾子さんはインドに行くのですか?

 

 

手嶋さん:その前に、中国で夫となる彼との出会いがあったのです。

 

中国と日本の遠距離恋愛から結婚へ

手嶋さん:当時、友人の紹介で彼と付き合い始めたのですが、彼はすぐに帰任が決まってしまいました。

 

大角:意地悪な質問かもしれませんが、遠距離恋愛になることで別れる話とかは出ましたか。

 

手嶋さん:遠距離恋愛が別れる理由にはならないと考えていたので、そういう話にはならなかったです。お互い仕事を優先しながらも、付き合いを続けました。彼は日本に帰任したあと、会社でアジア・アラブ地区を担当しており、メインマーケットである中国にも度々来てくれました。

 

大角:会えなくて、感情的になったり喧嘩になることはなかったですか。

 

手嶋さん:特になかったですね。二人のルールで「家に帰ったら毎日スカイプをつなぐ」ということをしていました。会話はなくても、生活音でつながっているというか。ちょっとマニアックな話になってしまいますが(笑)

 

大角:凄くいい話だと思いますよ。毎日連絡を取るというのは大事ですよね。この時、結婚についてはどう考えていましたか。

 

手嶋さん:結婚はしたいと思っていましたが、「この人と結婚したい」という人にはなかなか巡り会えませんでした。

当時の私には、中国の経済も、そこで仕事をする日本人男性も、浮足立って見えました。自分自身もそうだったかもしれません。仕事のパフォーマンスが100%、自分の成果なのか、経済状況がその感覚を鈍らせてしまう気がしました。

一方で、目まぐるしく変化する経済環境の楽しさを共有したいと思っています。

総合的に考え、当時の夫の視点はいつも冷静に見え、私に沢山の知識を与えてくれ、とても尊敬出来ました。

彼とは結婚したあともしばらく遠距離でしたが、私の中国での仕事を応援してくれていました。

 

中国で出産。日本との育児環境の違い

手嶋さん:当時、子供は中国でうみたいという気持ちがありました。中国は3ヶ月産休を取れるのですが、その期間を取り終えてから退職しました。

中国での出産の時は、彼も休みを取って来てくれましたし、母も中国に住んでサポートをしてくれました。

 

大角:出産における家族のサポートは本当に大切ですよね。

 

手嶋さん:でも、中国はインドと同様、お手伝いさんのサポートがしっかりしているので、もし家族が遠くにいても体制は安心です。質もとても高いですし。

 

大角:海外の医療を不安視する声も多いですが、意外と質が高かったりしますよね。

 

手嶋さん:中国は新生児と産後のお母さん専門のお手伝いさんがいたりするので、出産サポート体制は充実しています。その後は日本で育児生活にどっぷり使っていました。

 

大角:ずっと仕事を続けてきた綾子さんですが、育児と仕事のギャップを感じたりしましたか?

 

手嶋さん:育児の最中も、ずっと走り続けていた感覚があり、楽しかったですよ。育児は思い通りに行かないことが多く、達成感が見出しにくいというところはありますが、結局、子供がとても可愛いので。周りに自分と似た環境のママさんたちもいたので、凄く充実していましたね。

インドでの起業。マーケティング担当として立ち上げに参画

大角:綾子さん、インドへの関わりはいつごろあったのでしょうか。

 

 

手嶋さん:夫がインド企業とのM&Aに関わり、日本側の代表としてインドに駐在することになったのです。そのタイミングで一緒に渡航しました。

 

 

大角:インドでの生活に不安はなかったですか。

 

 

手嶋さん:不安もありましたが「中国にいたから、インドも大丈夫だろう」という気持ちがありましたね。ただ実際インドに来てみて、私にとって「中国は外国ではなかったかも」という気持ちになりました。

幼少期から中国で過ごしていましたし、日本と中国って、やっぱり基本的に結構似ているんですよ。同じ文化圏ですし、醤油文化ですしね(笑)

しかし、インドの人々の気質は私にとって未知でした。

特に、当時は駐在員の妻という立場でインドに来たので、インドの人と密に関わることも少なかったので、なかなかインドを理解するのに時間がかかりました。

 

 

大角:その後、Sushi Junctionのサービスをスタートされたと思うのですが、インドで起業に至った経緯はどういう形だったのでしょうか。

 

 

手嶋さん:夫は以前、中国に駐在していた時に「日中の国交関係がどうであれ、確固たる「ブランド」があれば、日本の商品を買ってくれる。」ということを強く感じたんだそうです。

その経験から「インドで日本のブランドの成功モデル」を創りたいという熱い気持ちがあり、起業に至りました。

私自身も、一度中国で経験したような、急激に成長するマーケットでのビジネスにチャレンジしたいという気持ちもありました。

 

 

大角:パートナーの起業に対して、反対する女性もいると思うのですが、綾子さんは初めから応援できていたのでしょうか。

 

 

手嶋さん:もちろん、そのまま駐在員の妻でいるほうが安定していたと思います。

 

夫は大学卒業後、大きな投資を頂いてインターネットのベンチャーを立ち上げました。その後はアメリカのビジネススクールに行き、米系コンサルティングファームで勤務しました。

前職では製薬メーカーのアジアアラブ地区担当役員として、20社をまとめていました。全ての過程は、「いつかまた自ら起業したい」という強い思いを持って、学び、歩んできた道です。

その彼の長い道のりを知っていたので、インドという大きな可能性を持つマーケットで挑戦するのなら、私も応援したいと思っていました。

Sushi Junction インドマーケットでの挑戦

インドで日本のブランドの成功モデルを創りたいという思いから誕生した「Sushi Junction」現在はデリーグルガオンを中心に、お寿司、丼ぶりもの、サラダ等のデリバリーサービスを展開しています。綾子さんは今までのご自身の経験を生かし「インド市場のマーケティング」を担当しているのだそうです。

 

大角:インド市場における、手応えはどうですか。

 

 

手嶋さん:世界では毎年30%、日本食レストランが増加しているそうです。

世界で日本食がトレンドになっているのに、インドでは日本食というカテゴリー自体まだ存在しません。

インド人にとって外国料理というと、中華料理やイタリア料理が一番なじみ深いもので、また最近ではタイ料理などもかなり普及してきました。

そしてその次に、日本食や韓国料理など大きな可能性があるとインド人の食の評論家達は話しています。

海外から戻って来るインド人富裕層に牽引され、日本食を食べるトレンド意識の高い人々は急増加しています。

大きなポテンシャルのあるマーケットだと考えています。実際に、日本食のデリバリーサービスの競合各社は、私達と前後して事業を開始しており、ローカルプレイヤー達も着実に動き始めています。

インドの所得の向上と共に、日本食に限らず食全般に対する消費額も大きく成長しており、その中でオンラインで注文を受けるデリバリーサービスは、海外からの投資も沢山流入して急成長している分野です。

他社に先駆けてこの成長分野で消費者の理解や組織・オペレーションの構築などの現場経験を蓄積していくことで、これからインドに参入する日系企業とも協業しながら大きく発展させたいと考えています。

 

 

大角:実際に事業を展開してみて、いかがでしょうか。

 

 

手嶋さん:すでに私達のお客様の7割はインド人の富裕層及びトレンドに敏感な若い世代の方々です。

この方々は日本食の質も知っており、私達は大変高いリピーター率と共に、毎月大きく成長しております。

今後もオンライン、オフラインのマーケティング活動の相乗効果を通して、インド人消費者に積極的にアプローチし、ブランド認知を高めていきたいと思います。

 

日本人女性にメッセージ

大角:綾子さん、素敵な話をありがとうございました。

最後に、この記事を読んでくれている日本の方にメッセージをお願いできますでしょうか。

 

手嶋さん:そうですね。シンプルですが、一歩踏み出してみることをおすすめしたいなと思います。

特に20代は様々なことに身軽に挑戦できる時期です。その時期がないと、30代の道は切り開かれません

結婚や恋愛、家族との関係、いろいろあると思いますが、自分が進みたい道に進むことで、出会う人も、その道にいる人に出会うことができます。

私も、自分のやりたいことに正直になっていなければ、人生のパートナーとは出会っていなかったと思います。

私の20代を振り返ると、熱い思いを持ってとにかく行動していたと思います(笑)

ただ、もう少し冷静になれる部分もあると良いのかなというのも感じました。自分と似た選択をしている5年先、10年先を歩んでいる人の話を、もう少し聞けたら良かったなとも思います。

 

 

大角熱い気持ちの中に、冷静さを持つこととても大事ですよね。

 

 

手嶋さん:日本にいると、どうしても「One of Them」になってしまいますよね。これからは、もっと自分をニッチな立場に置いて差別化することが大事だと思います。

そういう環境に置くことで、自分の知らない自分自身の魅力というものに気づけ、またそれを磨いていくことが出来ると思います。

自分が信じる道に、一歩踏み出してみてください。(完)

 

 

 

参考URL:

Sushi Junction

Tomato Private Limited

*こちらをクリックするとアクセスすることができます

 

「これから大きく成長するインドで日本の素晴らしさが伝わる新しい消費者ブランドを創りたい」という思いから、2015年にスタートしたオンライン・デリバリーサービス。現在はデリー・グルガオンを中心にロール寿司、丼もの、サラダなどをWebサイト・モバイルサイト・お電話で注文を受けて、ご自宅・オフィスにお届けするサービスを行っております。

またSushi Junctionでは、インドで新しいブランドを創るという熱い思いを共有して頂ける、優秀な人材を世界各国から募集しております。シェフ、マーケティング、正規社員、インターン生、是非ご連絡下さい。

 

編集後記

この日もクリスマスシーズンということで、私のストールもツリーのカラーを意識してみました(笑)今回はインドでできた同世代の友達のゆきちゃんもインタビューに協力してくれました。

綾子さんが言っていた「5年先、10年先の人の話を聞く」ということに対して、私にとってまさに綾子さんがその存在に当たると思います。

また、インドマーケットにおける日本食の話についてもとても興味深い内容を教えて下さいました。まだまだ認知度が低い日本食だからこそ、大きなビジネスチャンスがあるといえるでしょう。

海外で活躍される日本人女性の、まさにロールモデルといえる綾子さん。今後のご活躍も応援しております!ご協力いただきありがとうございました!

 


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