もうすぐ定期昇給の季節ですので、クライアント様に聞かれ始めることとして、インド人従業員の給料のことがあります。
インドでは、1月~4月に定期昇給が行われることが多いのです。
前回の2018年の定期昇給は、原油安とインフレの鎮静化から消費者物価・卸売物価上昇率ともに低位に推移、それまでの高い昇給率と比較して、若干落ち着いたとのではないかと思います。
参考 昇給率(インド全国平均) ※出典 JETRO
2018 年実績 | 2019 年見込み | |
スタッフ | 10.2% | 9.9% |
ワーカー | 10.7% | 11.1% |
おそらく2019年度の定期昇給も同じ傾向で進むのではないかと考えております。
企業にとっては、P/Lにダイレクトに関係する経営戦略上重要な決定でありますが、勿論従業員にとっても今後、当該企業で就業を続けるか、転職するかどうかの大きな判断材料になります。
インドでは就業における最重要な要素は、「給料」なのです。
私も日印合計で人材業界で18年超のキャリアを持ってるので、これまで色々な転職理由ケースを見てきました。
日本の場合は、「職場での人間関係」「仕事のやりがい」「勤務地」などを最重要な要素として転職をする方が多いのですが、インドにおいては、ダントツで「給料」が最大の理由となっています。
あるアジア全体で行われた意識調査では、日本以外の他アジア各国の仕事における一番大事な要素は、はっきりと「給料」であるという結果が出ました。
これは日本以外の他アジアでも至極普通のことであり、インドが特別でもなんでもないということです。
インドでは給料が上がる機会があれば転職を模索するというのが一般的な考え方です。一社に居続けると物価上昇率に合わせ毎年平均10%前後の昇給が一般的ですが、転職だとそのタイミングでの給与提示が20~30%程度の上昇が期待できます。
また、矛盾するように聞こえるかもしれませんが、インド人がもう一方で重要視していることが「雇用の安定性」でもあります。
20代のうちに転職を重ね、自身の市場価値を最大化し、30代後半を過ぎたあたりから、次は長く安定的に働ける場所を探し始めます。
40歳以降は転職の機会が格段に減るという事情も背景にあります。
参考 インド離職率 ※出典 JETRO
2017年度 | 2018年度 | |
トップマネジメント(部長級以上) | 8.6% | 3.7% |
管理職(課長、係長級) | 9.6% | 7.0% |
スタッフ(セールス担当者、秘書、受付、事務員) | 11.5% | 7.8% |
いずれにしても、評価の高い長く働いて欲しい社員には、日本の制度によくある横並びではなく、実績に応じて弾力的に昇給幅を広げて頂ければと思います。
しっかりと評価(昇給)することで転職よりも長く安定的に働く方がメリットがある、と認識してもらいWIN-WINの関係を続けていければお互い幸せですね。