こんにちは!Miraist編集部です。
みなさんは、「プリツカー賞」をご存知でしょうか?
プリツカー賞は、「建築界のノーベル賞」とも言われており、建築を通じて人類や環境に一貫した意義深い貢献をしてきた、存命の建築家に与えられます。
今年で40周年になるこの賞ですが、受賞者には、インド出身の建築家 “バルクリシュナ・ドーシ”(Balkrishna Doshi)がインド人で初めて選ばれました。5月には、カナダ・トロントのアガ・カーン博物館で授賞式が開催されました。
世界から認められたドーシ
1927年インド西部の都市プネーで生まれ、現在90歳のドーシ。
若い頃から才能が認められ、20歳のときに建築家になろうと決意。インド最難関のSir JJ Collage of Architectureに進学します。

photo by VSF
1954年には近代建築の三大巨匠のひとり、ル・コルビュジエのもとで働き、1962年からは、彼の代表作のひとつである、アーメダバードにあるインド経済大学院・バンガロール校のデザインを手がけました。
ドーシは、建築家だけでなく都市計画家、そして教育者としても活躍し、国内外から高い評価を受けています。

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見学できる彼のスタジオ
ドーシは、インド西部に位置するアーメダバードを拠点として活動しています。

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自身の設計事務所を1980年にデザインしました。(上写真)
円筒形の建物が印象的ですね。
このスタジオは「Sangath(サンガト)」と呼ばれており、一般客が見学することも可能なんだとか。
13時から13時半までがオープンタイムで、事前予約なしで見学できるそうです。

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彼の手がけたデザイン
ドーシは1950年代はじめにパリに渡り、西洋的なモダニズムを学びながらも、インドの文化や風土を考えて建築物を造りました。

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これはドーシがデザインした、建築・デザイン系の学部があるCEPT大学(Centre for Environmental Planning and Technology University)。

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また、彼はインド・インドールの集合住宅「Aranya Low Cost Housing」もデザインしています。低所得者向けのローコスト住宅です。

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このピンク色の建物は、1980年代に、住宅不足を解決するべくデザインされました。
空間をうまく使い、少しでも多くの人が住めるようになっているようです。現在は、6500世帯に約8万人が住んでいます。

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インド社会に貢献するデザイン
インド国民に貢献したいという思いから、公共機関や教育の分野で様々なプロジェクトを手がけてきた彼。今まで100以上のプロジェクトに携わってきました。
今回のプリツカー賞では、環境、文化、そして経済的な側面を考慮し、サスティナブルな建築物を母国に残したという、社会に対する大きな貢献が評価されました。

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子ども時代に「極度の貧困」を経験したというドーシは、建築界で最も栄誉ある賞を受賞したことで、インドの公共住宅事情に注目が集まることを期待しています。
「そうした人(貧困層の人)たちは、土地もなければ仕事もない」「だが政府が少しの土地を与えれば、『一生懸命働いて、自分の家を建てよう』と思うことができる」とドーシは語ります。(CNN.co.jpより)
インドの歴史と文化に誇りを持ちながら、70年もの長きにわたり、人生をかけてインド人の生活を少しでもよいものにしようと建築デザインを手がけた彼。素晴らしいですね!
参考
casabrutus.com
CNN.co.jp
hindustantimes
The Pritzker Architecture Prize