2018年6月6日。Googleが2016年にスタートしたインドの鉄道駅における無料Wi-Fiサービスの企画が、目標の400駅、そして対象人口800万人を達成したと発表しました。
Googleが、インド鉄道( Indian Railways )ならびにインドの通信事業者レイルテル(Rail Tel)と提携して進めている革新的なこのプロジェクト。
2015年9月にインドのモディ首相がGoogle本社を訪れた際に発表され、今年で3年目を迎えました。今回は、この無料Wi-Fi化サービスの内容と可能性をお伝えします!
無料Wi-Fiを使って勉強
インド南西部ケララ州にあるエルナクラム駅で、荷物を運搬する仕事をしていたシュリナテ(Shrinath)さん。
彼の夢は、ケララ州の公務員になることでした。彼は、仕事の休憩時間になると駅の無料高速Wi-Fiをつなぎ、オンラインの教材を使ってケララ州の公務員試験に向けて勉強していました。
そして挑んだ試験の結果は…なんと見事合格!82%というハイスコアで、試験を突破したのです。

photo by #StoriesFromIndia – 『Meet Shrinath, who used free RailWire Wi-Fi to get one step closer to his dream』
「以前は、一日中働いた後は疲れていて勉強する気になれず、公務員になる夢はほとんど諦めていましたね。ですが、駅に無料Wi-Fiが設置されたことで、スマホを使って勉強できるようになりました。
過去の公務員試験をダウンロードし、音声再生をして毎日聞きながら勉強しました。そして無事に、Village Assistantのポジションに合格しました。家族もびっくりしていましたね。駅の無料Wi-Fiのおかげで、夢が叶ったんです。」(Google Blogより)
息子のために教材をダウンロード
また、ケララ州コラム駅の近くでオートリキシャのドライバーとして働くヘレン(Helen)さんは、毎日渋滞や悪い天候に見舞われながらも毎日オートリキシャを走らせます。
一児の母でもある彼女は、息子に良い教育を受けさせるため、必死に働いています。彼女は、お金と同じくらい、無料でいかに情報にアクセスできるかを大切にしています。駅で乗客を待っている間、彼女は息子のためにWi-Fiをつなぎ、様々な教材を自分のスマートフォンにダウンロードしているんです。

「無料Wi-Fiのおかげで、今は何でもダウンロードできるようになりました。息子は今中学3年生です。私も息子と一緒に、今まで知らなかったことを学んでいます。」(Google Blogより)
今後の展望と可能性
ブログでGoogleの「Next Billion Users」チームのバイスプレジデントを務めるCaesar Sengupta氏は、
「インドのインターネット人口は世界で2番目に多いのです。しかし、オンラインでない人口(ネット環境が整っていないところに住んでいる人口)がまだ10億人近くいるのが現状。私たちの計画も、目標を達成したから終わり、というわけではありません。というのも、そもそも駅を利用しない、あるいは駅の近くで働いていない人びとも多いからです。」
と述べています。

今回は、インド西部のムンバイ中央駅を皮切りに徐々に無料Wi-Fiを設置していき、インド北東部に位置するアッサム州のディブルガール駅が400駅目となりましたが、今後はインド国外にも広げていくそうです。
インドで始まったこの企画は「Google Station」と呼ばれ、インドのモデルをインドネシアやメキシコにも展開しており、世界に拡大していこうとしています。
無料Wi-Fiサービスによって、夢が叶ったり、親子で知らなかった世界を知ることができたり。Google Stationには、限りない可能性を感じますね。