インド北部にある世界遺産、タージマハル(Taj Mahal)。
17世紀にムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが、最愛の妻ムムターズ・マハルの死を悼んで建設した大理石のお墓です。
1日平均1万人〜1万5000人、週末には7万人もの観光客がタージマハルをひと目見ようと国内外から集まります。
インド・イスラム建築の最高傑作と言われ、白亜の輝きで有名なタージマハルですが、近年建物の表面が変色しているのが問題になっており、最高裁が政府に対して対策を取るよう命じました。
変色した原因は?

photo by ARCHAEOLOGICAL SURVEY OF INDIA
過去には排気ガスによる大気汚染によって表面が黄色みを帯びてきたため、政府はタージマハル付近にある多数の工場を閉鎖させたこともありました。
しかし、今回は緑色になっている部分が多く見受けられたため、変色問題はより深刻になっていると専門家から懸念され始めたのです。
緑色に変色した原因は、なんと「虫の排泄物」でした。
ハエの一種であるユスリカが、タージマハルの横を流れるヤムナー川から大量発生しているとのことです。
虫の排泄物だけでなく、ヤムナー川には、流域の人口の増加に伴って多くの産業廃棄物や未処理の下水が垂れ流されており、水質汚染が問題視されています。
解決方法は?

インドの伝統医療、アーユルベーダでも使う泥パック
タージマハルの外壁の表面に着いた汚れを取り除く方法は…泥パック!
美容に使われている泥パックと全く同じ方法で、この変色問題を解決しようとしています。
インドの伝統医療、アーユルベーダで使う「ムルタニ・ミッティ」と呼ばれる泥パックを、タージマハルの尖塔に施しました。
ムルタニ・ミッティとは油分や汚れを吸着し、洗浄作用がある白い泥です。泥の粒子はかなり細かくミネラル成分が豊富なため、角質を取り除き、美白効果が期待できるんだとか。
厚さ2mmの泥を塗り、2日間かけて乾燥させた後に水で流すことで、大理石が持つ本来の白さを取り戻せるのだそう。今後ドームの部分にもパックをし、10年計画でタージマハル全体を綺麗にする予定だそうです。
あのタージマハルも、美白を保つために泥パックを施しているとは驚きです。泥パック後の、より白く輝くタージマハルが楽しみですね!
