みなさん、こんにちは!Miraist編集部です。
今回ご紹介するMiraist Womanは真鍋 文(あや)さんです。

あやさんは現在、アメリカのダラス、ボストン、インドのニューデリーとグルガオンに拠点を持つインターナショナルヨーガ・スクール『ナマシヴァーヤ・ヨーガ』のデリー校・グルガオン校の主宰、ヨガ講師として活躍されています。

20代半ば、自分らしい生き方を模索している時に、2010年ヨガ修行の旅でインドに向かい、そこからあやさんとヨガの本格的な関わりがスタートしました。

現地採用としてインドで就業経験もあるあやさん。どのような想いでインドという地を選んだのでしょうか。インタビューにてお話していただきました!

英語や新しい世界に触れた幼少期

―小さな頃はどんな子供でしたか?

とても元気な子だったと思います。真面目で、学級委員長もやっていたので、先生からも気に入られるような子でした。弟が2個下にいるのですが、人見知りする子だったのでよく弟の面倒を見ていましたね。

―幼少期に、海外や英語に触れるきっかけなどはあったのでしょうか。

いとこが帰国子女だったため、海外を飛び回っている人がたくさん周りにいました。祖父の家に親戚が集まると、皆が流暢な英語を話していました。母も早くから英語を教えたいと思っていたらしく、小学生の頃からアルファベットを教えてくれたり、祖父も英語の本を買ってくれました。

大きな変化があったのは、高校生の時。母が突然「ニューヨークに行こう」と言って、夏休みに私と2人でニューヨーク旅行に行ったんです。ちょうど、9.11の1ヶ月前のことでした。母は昔から「私を早く海外に連れて行ってあげたい」と思っていたようで、高校生の時にそれが実現しました。

―印象に残っている思い出はありますか?

マクドナルドでたったコーヒー一つ注文するだけでも、すごく大変だったことですね。「コーヒー」という発音が全然通じず…この時に、英語をもっと頑張らなきゃ!と痛感しました。

あとは、パーティーに行くためにドレスを着て出かけた時、知らないアメリカ人が「You are beautiful !!」って褒めてくれて。見知らぬ人からさらっと言われた一言にすごく感動しましたね。ストレートに思ったことを堂々と伝えるという文化って素敵だな、と思いました。アメリカに行って初めて見た世界は本当に印象深く、「いつかまたアメリカに戻ってきたいな」と強く思いました。

真鍋 文さん

大学時代には交換留学でアメリカへ

高校時代は勉強を頑張り、その努力が実って大阪大学法学部に入学したあやさん。大学時代、アメリカでの交換留学を決意します。留学生活はどうでしたか?

大学では留学のための勉強に集中していて、私の留学先はテキサスに決まりました。英語の勉強はもともとしていましたが、現地での授業はすごく苦労しましたね。アメリカの大学生は競争心が強くみんな良い成績を修めることに必死です。英語が流暢でない私にとっては近寄りづらく感じました。

―苦手意識を克服した経験などはありますか?

パブリック・スピーキング」という授業を選択したことが印象に残ってます。これは「大衆の前でプレゼンテーションをする授業」で、慣れない英語を人前で使うことは簡単ではなかったのですが「ここでやらなきゃいつやるんだ」と自分を鼓舞させて思い切って授業を取りました。

実際、アメリカ人でも私と同じようにスピーチには苦手意識を持っていることがわかり「自分だけじゃないんだ」と少し安心しました。自分がプレゼンをしている姿を動画で撮影したり、練習も本番も大変でしたが、それでも先生や友達が応援してくれたことで、度胸がつきました。

―いい経験ですね!考え方に変化はありましたか?

はい!そんなアメリカでの貴重な経験を通じて、私は「これからの人生をどうやって生きていこう」と真剣に考えるようになりました。

3回生になり、日本の友達は就活を始めたのですが、アメリカの友達は休学して好きなことを追求している人も大勢いて。「卒業したらすぐに就職すべきだ」という日本の制度が少し窮屈に感じ始めました。時期的に日本での就活のタイミングもほとんど終わっており、海外へ出たかったので海外で就職活動をしました。そして、そのときにご縁を頂いたSonyに就職することが決まったのです。

真鍋 文さん

新卒でSonyへ入社。充実した生活の中で、インドと出会う

―Sonyでのお仕事はどうでしたか?

新人の頃から、ヨーロッパのマーケティングの仕事を中心に、やりがいのある仕事を任せていただきました。当時は久々の新人採用だったらしく、すごくかわいがってもらいました。毎日充実していたのですが、1年半経った頃に、さらに経験を積むため子会社に出向になり。環境が変わったことがきっかけで「このままでいいのかな」と考えることが少し多くなりました。

―Sonyでグローバルな仕事を担当している中で、迷う部分もあったのですね。

海外の仕事をしたいという夢も叶っていましたが、何か欠けているものがあったんです。マーケティングの仕事は特に数字での達成度を表すことが大切で、そのために海外や日本の部署の人たちと一丸となって策を立て、やり切るということを行っていました。それ自体はとても楽しく、英語も使える仕事のなので夢のような環境だったと思います。

でもふと振り返った時に、どんなに頑張っても心の中に満たされない何かがあって。考えているうちに、「もっと別な好きなことで海外で働きたい」という自分の思いに気づきました。

そんなときに、友達が「ヨガの先生が向いてるんじゃない?」と声をかけてくれたのがきっかけで、少しかじっていたヨガに関心を持ち始めました。「まだ20代の半ばだし、長い人生だから一度すべて辞めてリセットしたい」という気持ちがこみ上げてきました。

―友達の一言がきっかけだったのですね!実際にインドと関わるきっかけは?

実は会社に入社してすぐに、インドに旅行へ行き、当時私はベリーダンスを習っていて、先生にインドをすすめられて、友達とジャイプールやアグラを観光したんです。

そして、その年の年末に2回目のインド旅行へ行きました。この時は1人でヨガ道場で特訓するために、インド南部のケララという場所に行ったのですが、当時はヨガのシンプルな生活スタイルや素朴な食事に体がついていけず…。そんな馴染めなかった経験もあり、はじめは文化がかなり違うインドに対して、やはり『大変そう』と思っていました。

―そうだったんですね!そのままヨガは続けたのでしょうか?

はい。今後ヨガを学ぶ上でインドで生活するのもよかったのですが、インドは大変そうな印象があり…(笑)以前から思い描いていた「アメリカで生活したいという夢に挑戦したかったのと、アメリカでの留学経験上、体系的に物事を習えるというのが分かっていたので、3年勤めた会社を退職してアメリカへヨガの修業に行きました。

空

アメリカでのヨガ修行。あやさんが学んだこと

―アメリカではどのような生活をしていたのでしょうか?

ヨガの資格を習得した後、ボランティアスタッフとして生徒にヨガを教えたり、ベジタリアン料理を作ったり、ヨガセンターの運営をお手伝いしながら、ヨガ三昧の日々を過ごしていましたね。あまり先のことを気にせず、とにかくゆっくりヨガの実践に専念していました。

―素敵な生活ですね!ヨガ修行を通して変わったことはありますか?

ヨガでは「見返りを期待せず、与えられるものをそのまま受け入れ、ただ実践することのみに集中しなさい」という教えがあります。自分の身体が一つの筒のようになっていて、何事も自分が全てコントロールして行うのではなく、自分という筒に上から水が流れていくイメージです。その水の流れを変えたり、止めたりしようとはせず、流れるまま、自分がその時やるべきことをただやるということです。

私はヨガの考え方を学んでから、シンプルに人生を考えるようになりました。今の自分に求められていることを、1つずつ実践していくことに集中しました。実際に、ヨガ三昧の生活をする中で、心身がかなり鍛えられていきましたね。

―自分と向き合い、心身が鍛えられる…ヨガの醍醐味ですね!

そうなんです。ある時瞑想中に、以前はハードルが高く遠ざかっていたインドが急に魅力的なものとして見えてきました。

考えてみれば、インドでは英語が通じますし、ヨガ発祥の地でもあり、直観的に何か良いことが待っているという気がしてきました。ヨガの活動を通じ、次第に「アメリカで生活したい」という思いから、自然と「インドで働きたい」という想いが強くなってきました。そこで1年ほどのヨガの活動を終え、日本でインドの就職先を探すことにしたんです。

真鍋 文さん

ライフスタイルにあったインド就職を実現したい

―インド就職をする上で、大切にしていたことはありましたか? 

この時、私が重要にした視点は「自分のやりたいこともやりながら、働く」というスタイルが実現的かどうかということですね。

就職活動の時点で「私はインドでヨガを教える活動も続けたい」ということを、会社の人に伝えました。新たに始まるインドの生活では、ライフワークバランスを大切にしたいと考えていました。面接でこのようなことを伝えるのはお勧めできることではないかもしれませんが、正直に伝えて自分の考えと合う会社を見つけることもすごく重要です。幸い、私が就職した会社の上司は私の思いを理解してくれました。

―それは会社とのマッチングで大切なことですよね。

はい。自分の生き方を応援してくれる方はすごく貴重です。仕事内容に関しては、過去の経験を活かせるもので、インド人と関わることが多い仕事を選びました。入った会社は製造業でしたが、お客様がインド企業・インド人だったので、インド人メンバーに囲まれて仕事をする環境でした。

インド就職をした真鍋 文さん

インドで独立。その転機とは?

―インドで就業していたあやさんですが、独立するきっかけは何だったのでしょうか?

きっかけはデング熱にかかったときでした。症状は重症で、近くの病院に通っても1週間改善せず、輸血が必要な状況に。顔は腫れて身体がやせ細り、大型病院に入院しました。幸い輸血はせずに済んだのですが、弱っている時に助けてくれたあるインド人の女性がいて。退院直後、体力が落ちている私を自宅に引き取り、栄養のあるご飯を作ってくれ、身の回りのことも全て面倒を見てくれたんです。

この一連のできごとで、親はかなり心配して日本に戻るよう言われたのですが、私はせっかく来た『インド』の地でやりたいことをやろうと強く思いました。助けてくれたインド人にも、心から感謝を感じていましたし、何かこの地に恩返しをしたいと強く思うようになりましたね。

―インドという地で恩返し。素敵な想いですね。

私は、この出来事を通じいろんな気持ちの整理がつきインドの地で、やりたいこと=ヨガを伝える仕事で独立すると強く決心をしました。

人生とは不思議で「これをやる」と決断すると、自然と自分の周りに、必要な人が現れたり、必要な環境が整ったりするものです。この決断をした直後に、今のパートナーに出会いました。「自分が決めること」これが一番重要なのだと感じます。

真鍋 文さん

インドで独立 ヨガ講師として新たな生活のスタート

2016年5月に退職後、インドでヨガのスクールを立ち上げます。アメリカのダラス、ボストン、インドのニューデリーとグルガオンに拠点を持つインターナショナルヨーガ・スクール:ナマシヴァーヤ・ヨーガを主宰し、ヨガ講師として活躍されています。

「自分は何のために生まれてきたのか」

「何のためにインドに来る道を選んだのか」

「一生その仕事をやりたいかどうか」

という基準で考えたときに、私にとっては「ヨガ」そのものが人生で、ヨガから学んだことを伝えていくということが自分にとっての最大の喜びであり、使命だと感じました。独立して、一日の全てをそれに注いでいこうと思ったのです。

―実際に独立してどうでしたか?

毎日がすごく楽しいです!ヨガのクラスに通われる生徒さんが熱心に取り組み、身体の調子が良くなった!と伝えてくれる時には本当に嬉しいですね。

またヨガクラスだけではなくて、スクールとして運営しているので、ヨガの先生になる人を育てる「ティーチャートレーニング」という全世界で通用するヨガの資格プログラムを行っています。

―先生を育てるプログラムもあるんですね!

はい。これからヨガの先生になりたい方々に、ヨガの英知を伝えていくという大切な役割を担っています。ヨガの哲学を深く議論し合う中で、受講生自らが人生の大切なことに気づき、心身ともに変わっていかれる姿を見ると、とても嬉しいです。私もヨガによって人生がすごく良い方向に変わったので、誇りを持ってこの仕事に取り組んでいます。そして、私も日々ヨガを学び続けています。

2017年9月にはグルガオンにもスクールをオープンしました。さらに多くの人々にヨガを広めていきたいですし、今後全世界ご縁のある土地に足を運び、ヨガの学びを伝えられたらすごく幸せです。

―現代の働く女性もついつい頑張り過ぎてしまったり、疲れやすい環境にいるのかなと思います。そんな私達でも、ヨガの考え方を取り入れることは可能でしょうか。

ヨガの考えを取り入れてから、意地を張ったり、無理をしすぎたりすることはしなくなりました。「Do More」ではなく、「Do Less」という考えです。「もう少しできる」というところで止めておくこと。ヨガのポーズも「頑張って頑張って伸ばす」ではなく、いかに「快適に、楽にできるか」を探っていきます。

その時に、自分の体や心に目を向けることができます。余裕がなくなってしまうと、周りのことはもちろん自分の本来の姿も見失ってしまうことがあります。ぜひ参考にしてみてもらえるとうれしいです。

ヨガをする真鍋 文さん

 インド就職・インド転職を目指す日本人女性へのメッセージ

―最後に、海外就職を目指す日本人女性に向けてメッセージをいただけますか?

自分の心の声を聞くこと。これをしてみてほしいです。具体的に自分がどうありたいのかを思い描くことが大切です。いろんな声が邪魔して、なかなか自分の本音は聞こえないものですが、実はこうしたいのではないか?という自分の声を聞いた時、勇気を出して一歩踏み出してみてください。

思っていることと、やっていることや状況が一致しない時期もありますが、信念を持っていれば、道は開いていくはずです。一人ではなくて、支えてくれる人や仲間もきっと現れます。人それぞれの人生の歩み方がありますから、道がなければ道を作る!というくらいのつもりで先を心配せずに、伸びやかに人生を歩んでいけたらいいと思います。

インドという国は雄大で、多様で面白くて、人生の様々な学びが待っています。ぜひ頑張ってください!

真鍋 文さん

真鍋文さんのスクールはこちら!

ナマシヴァーヤ・ヨーガ 

〜ヨーガと瞑想のインターナショナル・スクール〜

ナマシヴァーヤ・ヨーガ 

編集後記

何度も自問自答をしながら「ヨガ」という生き方にたどり着いたあやさんは、自分の信念にまっすぐに生きていて、とても生き生きした様子が伝わってきました。

思っていることと、やっていることや状況が一致しない時期もありますが、信念を持っていれば、道は開いていくはず」

今悩んでいる方も、自分の心の声に正直に、自分の選択を積み重ねていってほしいなと思います。あやさん、お忙しいところお時間いただいてありがとうございました!