こんにちは!Miraist編集部です。
インドのeコマースの巨人とも言われている「Flipkart(フリップカート)」。
「インド版のアマゾン」とも言われており、アマゾンがインド進出を果たした後も、インドのeコマース界で大きな存在感を保っているフリップカートですが、米小売業大手のウォルマートに買収されると先月5月に発表され、インドの経済メディアを騒がせました。
買収したその意図とは…?
絶好の市場を手に入れるために
買収額は160億ドル(約1兆7000億円)で、インドでのM&Aで過去最高。
また、株式の77%をウォルマートが取得すると発表しました。今回ウォルマートがフリップカートを買収した背景には、eコマース市場が今後著しく発展していくインドで、フリップカートの持つ1億人の顧客基盤とネット通販市場を手に入れること、そしてインド市場を席巻する狙いがあるのです。
次に、インドのeコマース事情を見ていきましょう。
インドのeコマース事情

実際、インドのeコマース市場は、現在世界中から注目されている分野の一つ。
というのも、インドは今後15年間で、どこの国よりも多くの人々がインターネットでつながるようになると想定されているからです。
JETROによると、同国のeコマース市場は、全小売市場の2%未満を占めていましたが、 2009年時点で約38億ドルだった市場規模は、2015年には230億ドルに達し、2015年~2019年の年間平均成長率は35%と推定されています。
そして、2026年には約2,000億ドル規模まで成長すると予測されています。インド中間所得者層やスマートフォン利用者の増加、4Gサービスの開始なども、今後eコマース市場を盛り上げる一因となるでしょう。
今回、ウォルマートの競合であるアマゾンもフリップカートの買収を目指していましたが、独占禁止法に抵触する恐れがあるという理由で、実現可能性は低いと思われていました。
インドのeコマース市場で32%のシェアを占めているアマゾンですが、ウォールマートがフリップカート買収した件から影響を受けるのは必至です(参照Forbes Japanより)。
「従来の方法は通じない!?Amazonがインドで打ち出した戦略とは」
インドのアマゾン、フリップカートとは?

photo by flipkart.com
フリップカートは2007年にアマゾンの元社員のサチン・バンサル(Sachin Bansal)とビニー・バンサル(Binny Bansal)によって設立されました。
同じ名字なので2人は兄弟かと思ったのですが、実は血縁関係はなく、インド工科大学デリー校の同窓生だったようです。
インド・バンガロールに本社を置くフリップカートは、当初からインド版アマゾンを目指し、創業当初はオンラインでの書籍販売から始動しました。現在は、幅広い商品を扱う電子商取引のプラットフォームを展開しています。
ウォルマートがフリップカートと交渉を開始したのは2016年。
インド市場に可能性を感じていたウォルマートですが、インド政府は海外企業に対して直接投資の規制をしており、それがネックとなっていました。
また、ウォルマートはeコマースへの取り組みでは他の企業に遅れをとっていたため、フリップカートと提携することで、オンラインとオフラインの両サイドで市場を開拓していくことが期待されています。
インドのスタートアップ企業の約70%はeコマース関連企業で占められており(JETRO調べ)、今後も世界有数の成長市場を巡って熾烈な闘いが繰り広げられるでしょう。
参考
Forbers Japan
JETRO インドのeコマース市場調査
JETRO ビジネス短信
Walmart.com
Flipkart.com